猫魔ヶ岳

猫魔火山エリアの地形と地質

猫魔火山は会津盆地の北東、磐梯火山の西方に位置し、東西10km、南北10kmの広がりをもつ。火山の山頂部には径2kmほどの凹地があり、そこに水をたたえた雄国沼がある。雄国沼をとりまいて、猫魔火山主峰の猫魔ヶ岳、厩岳山(うまやさん)、雄国山などの山々がそびえている。

猫魔火山を造っている岩石は、磐梯山と同じく安山岩質の溶岩を主として、一部火砕流堆積物を挟む。猫魔火山はおよそ100万年前に活動を始め、約70万年前までに雄国山、厩岳山、古城ヶ峰などの山体が形成された(古猫魔火山)。その後、古猫魔火山の中央部に大規模な山体崩壊が起こり、それにより生じた岩なだれ(※1)が北東方向に流れ、山体を造っていた大小の岩の塊が山麓に堆積した(雄子沢(おしざわ)岩なだれ堆積物)。猫魔火山北東麓の雄子沢沿いには、岩なだれ堆積物に特徴的な丸い形をした小丘である流れ山地形が見られる。約50万年前に、山体崩壊により生じた爆裂カルデラ内に新たに溶岩が噴出し、猫魔ヶ岳を中心とした山体が形成され、現在の雄国沼を含む凹地が形成された(新猫魔火山)。猫魔火山はおよそ40万年前に火山活動を終えたと考えられ、その後火山活動の中心は、東にある磐梯火山に移った。

※1 岩なだれ・・・大規模かつ高速で起こる山体の崩壊現象。火砕流や泥流とは異なり、破壊された大小の岩が、マグマ物質を含まず、水もほとんど含まない状態で流れ下りる。岩なだれの堆積地域では、起伏のある丘陵(流れ山)が形成。岩層なだれとも言う。

地質図猫魔火山の地質図 三村(2002)作成の図を簡略化
猫魔ヶ岳と周辺の山々

猫魔火山には、雄国沼(水面標高1089m)のある中央の凹地を取り囲むように、猫魔ヶ岳(標高1404m)、厩岳山(1261m)、古城ヶ峰(1288m)、二子山(1257m)、雄国山(1271m)などの山々が連なっている。これらのうち、1200m級の高度をもつ厩岳山、古城ヶ峰、二子山、雄国山は猫魔火山の古い時期の活動(100万年~70万年前)により形成された山体で、1400m以上の高さをもつ猫魔ヶ岳は新しい時期(50万年~40万年前)に形成された山体である。

猫魔火山とその東方にある磐梯火山は、同じ安山岩質のマグマによる活動で形成された、言わば兄弟火山である。しかし、猫魔火山に比べて磐梯火山の方が高く険しい山容をもつ。これは、猫魔火山が磐梯山に比べて古い火山で、長い年月をかけて浸食が進み、なだらかな山容をもつに到ったためである。

鳥瞰図猫魔火山と磐梯火山(北海道地図提供)